第3回さいとう・たかを賞 受賞作

SAITO TAKAO AWARD 2020

『レイリ』

レイリ

<書誌情報>

原作:岩明 均
漫画:室井大資
秋田書店「別冊少年チャンピオン」連載

<作品紹介>

長篠の戦いから4年、黄昏ゆく武田帝国と勃興する織田軍団の血戦のはざまで、数奇な運命を生きる少女の名はレイリ。
巨匠渾身の原作を新感覚の鬼才が作品化! 衝撃の本格戦国時代劇、開幕!!

受賞者コメント

Winners comment

シナリオライター/岩明 均(いわあき・ひとし)

1960年生まれ。漫画家。代表作は「寄生獣」「ヒストリエ」。 シナリオ執筆としては手塚治虫の作品「ブラック・ジャック」を原作とした「青き未来」(山石日月名義、漫画/中山昌亮)があるが、オリジナルの漫画原作としては「レイリ」が初作品。

私は自ら作画しての漫画も描くのですが、この「レイリ」に関しては初めから、自分での作画・作品化は無理だと思いました。 アシスタントを使わない、というより人に上手く指示・指導ができない性分の私は、普段も「1人作業」でどうしようもなく遅筆となり、すでに進行中の他の1作品を作画執筆するとそれでほぼ手一杯になってしまうからです。 時間はかかりましたが何とかシナリオを完成させた後は、秋田書店の沢さんに漫画家の人選など制作全体を仕切っていただき、漫画家の室井さんには私には無い持ち味を存分に発揮していただきました。 今回本作を評価いただいた事、1人作業の時には無い感慨、喜びを感じています。本当にありがとうございます。

作画家/室井大資(むろい・だいすけ)

福島県出身。漫画家。00年「海岸列車」でデビュー。代表作に「イヌジニン」「エバタのロック」「秋津」など。 沢田新の名義で原作をつとめる「バイオレンスアクション」(漫画/浅井蓮次)をコミックサイト「やわらかスピリッツ」にて連載・続刊中。

岩明均先生をずっと尊敬していました。1990年、雑誌「宝島」のマンガレビューで、「寄生獣」っていうマンガがヤバいってレコメンドされてて、で、読んで。 あんなに脳の汁が出る体験ははじめてでした。それ以来ずっと「岩明均」が好きで。ぜんぶ好きです。 だからほんとに、一緒に仕事できるのが信じられなくて、幸福でした。 「レイリ」という作品の座組みの中に混ぜてもらえて、本当によかった。 レジェンドでありつつ、現役最前線で戦い続けている先生方に、「レイリ」を選出していただけたのは、とても光栄ですし、報われた気持ちになりました。ありがとうございます。 この賞を機に、もっと多くの人に読んでもらえるとうれしいし、賞金50万円もうれしいです。 やはりフリーランスにとっての不労所得というのは何にも代えがたいものなのではないでしょうか。 50万、地味にうれしいです。何を買おうかわくわくします。ありがとうございます。岩明さんと沢さんもありがとうね。

編集者/沢 考史(さわ・たかふみ)

1989年(株)秋田書店に入社。 週刊少年チャンピオン(部員)、ヤングチャンピオン(部員/副編集長)、チャンピオンRED(編集長)、 週刊少年チャンピオン(編集長)、別冊少年チャンピオン(編集人)を経て、現在取締役編集局長。

岩明均先生が12年の歳月をかけて完成させた原作を、一気に読ませていただいた日の感動を忘れることはできません。 完璧な何かがここにあると確信しました。そして、室井大資先生という強烈な魅力を発するもう一人の作家が漫画作品としてあらためて生み出してくださった。 圧倒的な才能が最高の原作と踊るダンスを目の当たりに出来た幸福。今、担当編集者として、完成した作品へ高い評価をいただけたことに、深い喜びと皆様への感謝を抱いております。

選考委員コメント

Committees Comment

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池上遼一氏 コメント

異才と言われる漫画家が、構想から12年の歳月をかけて書きためた原作にふさわしい、完成度の高い歴史ドラマに仕上がっている。 その奇抜なストーリーもさることながら、心理描写やアクションシーンの演出に特異な工夫があり、独特のリアリティーを感じさせる。 これも実力ある漫画家が作画を担当したゆえんか…。

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佐藤優氏 コメント

完成度がとても高い。歴史に「もし」は禁物であるが、こういうことが十分あるように思えてくる。着地も優れていて読後感がいい。 レイリのキャラクターもチャーミングで、大人の鑑賞に十分に耐えながら、子どもが読んでも楽しめると思える作品。

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長崎尚志氏 コメント

なかなかの傑作。キャラクターもストーリーもすぐれている。死にたがっている人間を影武者にするという設定が上手い。 もう少し長く読みたかったが、終わり方がやや淡泊に感じた。

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やまさき十三氏 コメント

主人公は女性ながら戦国武将の影武者という設定。 映画やドラマでもよく使われる設定にもかかわらず熱く爽快な青春物語に仕上がったのは、骨太の脚本と、それを静と動の息もつかせぬ迫力ある画面として仕上げた作画の力である。

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さいとう・たかを コメント

室井氏の他の作品は拝見していないが、まるでこのドラマを描くために創られたようなペンタッチの絵である。なかなか見せる。コマの運びもなかなかいい。

第3回さいとう・たかを賞 最終選考会議録

最終選考会の会議録をこちらからご覧いただけます。